計画策定の経緯
当企業団の発足以来、人口増加や土地開発等に併せて水道管路の整備を行ってまいりましたが、日本の水道は整備拡張の時代から維持管理の時代へ遷り変わってきており、全国的にも各水道事業体では、安心・安全の観点から、災害に強い水道管へと耐用年数に併せて更新する事業計画を立てて実施しております。
当企業団においても、平成26年度から令和5年度までの10年間で送配水施設耐震化事業計画書に基づく地震に強い水道管への入替工事を行いましたが、まだまだ災害に備えなくてはならない管路はたくさんあります。
そこで、引き続き令和6年度からも第二期送配水管路耐震化事業計画書を策定し、これまで同様災害に強い水道管の入替を計画的に遂行してまいります。更新管路の選定
水道管の法定耐用年数は、管種により違いがあるもののおおよそ40年ですが、過去に発生した大きな地震の水道管路被害状況調査等から、材質や工法により被害の程度に違いが生じることが報告されております。
令和6年1月1日に発生した能登半島地震においては、被災地では地震により被害を受けた水道施設の復旧に関し、避難所等への水道水の供給を最優先に進めようとしましたが、もともとの管路の耐震化が進んでいなかったことに加え、地理的な要因等も重なったことで難航し、復旧には長期間を要しました。
そのような事情を踏まえ、第二期送配水管路耐震化事業計画書では、給水区域内の重要施設(構成市町で定める避難所など)までの水道管路を優先的に耐震管に更新する計画としております。※管内の重要施設については構成市町の下水道と統一済みであり、上下水道一体の耐震化計画(現在、策定中)として反映されております。
採用する耐震管について
当企業団で地震に強い水道管として採用する耐震管は、当企業団で定める『送配水管の布設管種要綱』に基づき、主にダクタイル鋳鉄管GX形と配水用ポリエチレン管を採用いたします(河川横過等は除く)。
※管種については、管種の特徴と違い参照。
計画の実施と課題
当企業団では、先述したように平成26年度から令和5年度までに水道管入替工事を進めてまいりましたが、過去の実績表のとおり水道管路の耐震化は伸び悩んでおり、その主な原因は工事費用の財源確保にあります。
全国各地の水道事業体でも同様の課題となっておりますが、独立採算制により運営している水道事業にとって、今後確実に人口減少が予想される中で水道料金収入だけでの経営には限界がありますので、水道施設耐震化に係る公的資金を国へ要望しております。しかしながら、いまだに要望どおり満額の交付には至っておりません。また、近年では毎年のように材料費や人件費が上昇し工事費用が高騰しており、財源確保は喫緊の課題と捉えております。今後も収入と支出の適正なバランスを考慮し、慎重かつ堅実な予算執行のもと耐震化事業計画を確実に進めてまいります。最後に
能登半島地震では水道・下水道施設は共に極めて大きな被害を受けました。当企業団においても、日本水道協会の要請を受け山形市上下水道部に同行する形で実際に2名の職員が被災地へ赴き応急給水支援や管路復旧支援活動に携わりましたが、その経験から、現地へ派遣された職員はもとより、それ以外の職員も含めた全職員が、耐震事業の重要性を改めて強く理解しております。
今後も東日本大震災を超える規模の地震への備えが必要であると言われている状況下において、当企業団では第二期送配水管路耐震化事業計画書に基づく水道管路の耐震化を着実に推進してまいります。水道利用者の皆様及び地域住民の皆様方各位におかれましては、工事等に伴う交通制限や騒音等で何かとご不便をお掛けすることとなりますが、どうぞ格別のご理解とご協力の程よろしくお願い申しあげます。
最上川中部水道企業団 工務課工務係